開業に至った理由と
やりたい医療への決意
私が開業を決意したのは、やりたい医療を提供したいという強い想いからです。きっかけは、以前勤めていた病院で経営層の交代とともに医療方針が大きく変わったことです。新しい体制は、私の目指す医療の方針とは方向性が違うものでした。そこに、人間関係でなども合わさって次第に精神的な負担が大きくなっていったことで、はっきりと開業の意思が固まっていきました。ちょうどそのとき、大学の初めての同窓会が開かれ、友人に悩みを相談したところ、自宅で開業すればいいんじゃない?と言われたことが、大きな転機になりました。
ある日新経営者に方針の違いを話したところ、「辞めたければいつでも辞めていい」と言われ、その瞬間「じゃあ辞めます」と、即座に決断しました。この時は、徐々に開業の準備を進めていたので、迷いなく行動に移すことができました。
ずっと自分のクリニックを開業して、女性のための医療を提供したいという夢があったので、今では新経営者との出来事は、自分の夢を後押しし、実現するための行動を促すきっかけになってくれたと感謝しています。
住居を改装して開業する、
という選択
私のクリニックは自宅から程なく行った場所に持っていた中古物件を改装し、1階部分をクリニックとして使っています。自前の物件で開業することで、開業のための土地の取得費用がかからず、コストを大きく削減できました。ですが、1番の成果は子どもと過ごす時間を増やすことができたことです。
グランデュールさんからは「駅近で探しますよ!」と言っていただいていたのですが、どうしてもこの場所で開業したかったのです。と言うのも、実は、私の子供の一人は障害を持っています。そのため、学校で何かあったときはすぐに迎えに行かなくてはなりません。
日々の生活の中では、突発的なことも多くて、例えばわかりやすい例だと、便を漏らすこともあります。すると、その始末のために想定外の時間がかかる、なんてことは少なくありません。ですから、子育てと診療の両立のために、どうしてもこの場所で開業したかったのです。

勤務医時代は、勤務時間が長かったので、スタッフの方にお迎えを手伝ってもらうなどして、どうにかやりくりをしている状態でした。そんな慌ただしい日々の中、どうしても家族との時間が少なくなりがちでしたが、自宅でクリニックを運営するようになってからは、診療の後、すぐに子どもと過ごすことができるようになったり、閉院後の仕事は子供が休んでからする、というように子供を中心に作業を調整することができるようになりました。
例えば、子供が寝静まってから、何かあればすぐに飛んで行ける距離でカルテの整理などの作業をすることができる、というようなことは、私にとっては画期的なことです。これは私にとって、開業の何よりも大きなメリットです。
開業準備と
グランデュールさんの
サポート

住居をクリニックに改装、ということで最初は友達の旦那さんに図面を作ってもらったのですが、その時に「どうやらできそうだ」ということがわかったのです。ですが、コンセントの位置、診察室と診察台の配置や動線など、実際に開業してみて「しまった!」と思うことはあるのではないか、という点は不安でした。その1週間ほど後だったのですが、グランデュールさんとお会いした時、初対面なのに、図面をバーっと直してくださったのです。
私の好きな言葉に「チャンスの女神は前髪しかない」という言葉があるのですが、まさにこれはチャンスが到来した、と思いました。チャンスはその時に掴まないと、手遅れになったら無くなってしまう、と思っているので、この瞬間、開業に踏み切る決断ができました。その後も「自宅でクリニックをするならこうした方が良いのでは?」とヒアリングしていただいて私の想いを次々と反映して物件の図面を修正していただけたので、開業後も今に至るまで大きなトラブルもなく運営ができています。
おかげで、実際の準備においてはそこまで大きな苦労を感じることはありませんでした。むしろ、グランデュールさんに採用などのマネジメントから、機材などの物理的な準備まで幅広くお任せすることで、私自身は理想とする医療をどうやって実現できるかを考えては、グランデュールさんに熱い思いで投げかける、そしてグランデュールさんと実現に向けて心ゆくまで話し合うという、理想的な開業準備に集中することができました。
サポートがあったからこそ、スムーズに開業にこぎつけられたと思います。
診療時間の工夫と
当院の特徴
診療時間についても、女性患者さんが通いやすいように工夫しています。一般的なクリニックでは午後の診療が15時から始まることが多いですが、当院では14時から診察を始めるようにしています。というのも、女性は午後に幼稚園や保育園のお迎えがあったりして、15時からの診療だと通いにくいからです。14時から診療を始めることで、診察を終えてからお迎えに行く時間が取れるようにしています。こうした細かな配慮が、女性患者さんにとっての利便性につながると考えています。

また、当院の診察方法にも工夫があります。例えば、内診台を使わずにベッドで検査を行うことで、女性が感じる負担を軽減しています。
スペースに関しても、普通の病院では泌尿器科ってガランとしてるところでカーテンで仕切っているだけのところで「はい、ここで脱いで」みたいなことが多いものです。そういうのって女の人は嫌ですよね。ですから狭いところで、例えば誰も見えない閉鎖空間で検査を受けるとか脱ぐとかだったら抵抗がないと思い、検査室のところもベッドギリギリにして、わざと狭くしています。
逆に言うと、これまではそういうところが全く配慮されずにきたのが日本の医療の問題点の一つだと思います。ですから、当院では内診台や環境に抵抗を感じなくて済むように、できる限り患者さんがリラックスして診療を受けられる環境作りに努めています。
女性医師が開業する、
ということ
開業医は大変なんじゃないか、とよく言われます。しかし、私としては、勤務医だからこそ、男性と女性と長く一緒に働く中での難しさがあったように感じています。
一例ですが、その中で、22時までの勤務でしたが、私の仕事は手術だったので、17時ぴったりに終わらせて、スタッフや看護師さんが帰れるようにしていました。ですが、主に男性医師で内科系の、手術をしない先生から見ると「なんか手術やって帰ってるよ、あいつ」という感じに言われてしまうことがありました。すると、どうしても「長い時間いる人の方が評価される」ということが起こります。
もちろん、開業してからは仕事量も増えて、さらに持ち帰る仕事も増えています。しかし、先ほどお話したように、とりあえず家事をして、その後またカルテの残りをやったりと時間の調整が自分でできるので、時間や働き方で考えると、開業の方が、私にとっては比較にならないほどのメリットがあるんです。

また、巷で聞く泌尿器科の評判も気になっていました。
泌尿器科は男性の患者さんが多いので、男の人はあまり気にしないかもしれませんが、女性から見ると、普通の泌尿器科って尿だし、汚いし、臭いしみたいな、正直そんな印象なのです。
だから、男の人には普通かもしれないけど、イメージ的に、女性は泌尿器科に行きにくい、行けない、という話を聞いていました。
片や私は日々、毎日普通に仕事として泌尿器科の診療をしているわけです。自分は医療をやってるとしか思ってないのに、周りの人はそう思うんだ..というのは新鮮な驚きでした。
そこで、それで女性が泌尿器科にいけないんだったら、女性だけを診る、女性のための泌尿器科クリニックを作ろう、と決意したわけです。
最近の女性の泌尿器科というと、フェミゾーンを若返られさせる、といったことをして、一部売り上げを作る方法が流行りです。
ですが私は、そういうのはしたくありませんでした。あくまで、女医による、女性向けの膀胱癌とか、間質性膀胱炎とか、ちゃんとした、女性がかかれる、泌尿器科を作りたいと思っていたからです。最近は内視鏡の男性医師に「じゃあ次カメラね」とか言われて、それはちょっと..となってうちに来る、という方もいらっしゃるようになりました。
なぜ、泌尿器科なのか
当然ですが、内科は手術をしません。外科は、例えば、抗癌剤などはやりません。ですから、 例えば盲腸になると、最初は内科に入院して点滴しますが、点滴して治らないと、今度は外科に移ります。すると、内科の先生は途中で治療が終わってしまいます。
そこからは外科の先生が主治医になるので、内科の先生は患者さんがその後、どうなったか知らない場合が多い。では外科の先生はといえば、手術の人が来たから手術をする以外に選択肢はないので、来たからやる、という風にならざるを得ません。
でも、泌尿器科だと、例えば膀胱癌になると、抗癌剤も自分のところでやって、その後手術もするので、それこそ亡くなるまでずっと泌尿器の治療で、患者さんを最初から最後まで自分のところで見られます。ここに医療としてのやりがいを感じているため、泌尿器科を選びました。この特徴は産婦人科と泌尿器科のものですが、産婦人科はお産の実習でびっくりしちゃったので(笑)泌尿器科を選びました。
クリニックの存在意義
開業してからは、以前の勤務医時代とは違う患者さんとの接し方ができるようになりました。総合病院では大病や手術がメインになることが多いですが、クリニックでは患者さん一人ひとりと深く向き合えることが強みだと感じています。しかも、開業してから分かったことなのですが、女性向けの泌尿器科として開院してみると、総合病院では「患者は少ない」とされていた間質性膀胱炎の患者様が想定を遥かに超えて来院してくださるようになったのです。
大きな総合病院では間質性膀胱炎はないと言われていましたが、アメリカの統計では断然多いと言われていたので、今アメリカのデータのすごいさを実感しているところです。日本にも男性医師の多い病院ではかかりにくい、と感じて診察にすら行かなかった方々が潜在的にいらっしゃったことは、開業してみなければわからなかった大きな発見です。これもまた、日本の医療全体の大きな問題といってもいいと思います。
よく便秘の人は総合病院でなくクリニックに行く、と言われていて、この間質性膀胱炎の例は非常に分かりやすい例だと思いますし、こうしたところにクリニックの存在意義があると思います。
そうして、女性患者さんが集まってくださるようになるにつれ、次第にもっとサポートしたい、という想いが高まりました。そこで、専用のスタディスペースも設け、定期的に勉強会も開催するようになりました。スタディスペースは各種勉強会だけでなく、多くの食材や調味料を避けなくてはいけない患者様の食の苦しみを緩和するような料理レシピを紹介したり、患者さん同士の繋がりを育むようなコミュニティの場として、ご利用いただいています。
こうした試みこそが、「ただ症状を治す、緩和する」というのが医療ではなく、症状に寄り添い、患者さんの人生に寄り添う、それがこれからの本質的な医療なのではないか? という私の長年にわたって温めてきた理想の地域医療の形だと確信しています。
失敗なんて、怖くない
開業前は色々不安はありましたが、今ではやりたかった医療を自分のペースで提供できるようになり、開業して、本当に全てが良くなったと思っています。
2016年にお腹が痛くて自分で紹介状を書いて、MRIを予約したことがありました。そしたら卵巣癌
の末期って書いてあったんです。
自分ではちょっとお腹痛いから卵巣でも腫れてるのかな? ぐらいに思ってたんです。そしたら卵巣癌
の末期で、もう、お腹中に転移してて、腹水がいっぱい溜まってる…そんな結果が突然来ちゃって。
それで、翌日にガンセンターに行ったら診断結果は同じように「そうです」って言われてしまいまし
た。でも「手術がちょっと先になります」と言われたので、バイト先の婦人科で見てもらうと、やっぱり癌だと言われました。しかもかなり悪い、と。その時熱も40度ぐらい出てたので、すぐに手術だ、ということになったら、なんと炎症だけだった、ということがありました。
あまりに強い炎症だったので、癌と見分けがつかなかったのです。
とはいえ、癌じゃなかったとはいえ、自分の気持ちとしては、すごい命拾いしてるわけです。だから、なんかもう、失敗とかは本当に怖くなくなりましたし、チャレンジする、という気持ちがより強まりました。これも、開業を後押ししてくれた出来事として、今は感謝しています。
開業=楽をするための選択肢、という考えが、比較的多くの医療関係者に持たれていますが、それは大きな誤解だと思います! 何より、医師として、決してそうであってはいけません。楽をしたいのではなく、患者さんのために、自分の学びのために、チャレンジしたいから開業するのです。実際に、私は日々、医療に費やす時間と労力は圧倒的に増しています。 ですが、新しい発見と学びと喜びでいっぱいです。
開業して、思うこと
開業前は色々不安や葛藤はありましたが、今ではやりたかった医療を自分のペースで提供できるようになり、開業して、本当に全てが良くなったと思っています。今まで以上に、家族との時間を大切にしながら、患者さんに寄り添った診療を続けていきたいと思っています。これまで、医療は想像以上に男性社会だったと思います。しかし、医療体制も大きく変わっていくこれからの時代、女性のための医療はこれから益々必要になっていくのではないか、と強く感じています。もし、今開業を迷われている女性先生がいらっしゃるのなら、是非とも勇気を持って一歩を進んでみてほしいな、と思います。そのときは、是非とも一緒に、あたらしい医療の道をともに歩んでいきましょう!

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